交通事故における入通院慰謝料はどのように算定されるのか

交通事故に遭った場合、入通院を余儀なくされることがあります。

その精神的な苦痛は各人各様に異なるため、交通事故における困難な問題の一つに、慰謝料の具体的な算定があります。

では、交通事故における入通院慰謝料はどのように算定されるのでしょうか。

その慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準という3つの基準があります。

3つの基準では、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準の順に、算定される慰謝料が高くなります。

以下において、慰謝料算定の基準を概観した上、非公表の任意保険基準を除き、自賠責保険基準と裁判(弁護士)基準では、入通院慰謝料の算定額にどのような違いがあるのかについて、説明することとします。

慰謝料算定の3つの基準

慰謝料算定の3つの基準は、下記のとおりです。

自賠責保険基準

自賠責保険基準とは、自賠法に基づく自賠責保険の支払基準であり、強制保険による最小限の補償の趣旨となりますから、任意保険会社をも拘束します。

任意保険基準

任意保険基準とは、任意保険会社が定めている基準で、任意保険会社に全社統一的な基準はなく、各社とも非公表ですが、自賠責保険の基準を下回るものではないとされています。

裁判(弁護士)基準

裁判(弁護士)基準とは、いわゆる赤い本や青本に基づく基準で、訴訟になった場合に見込むことができる賠償額の基準になります。

赤い本と青本でも多少の相違がありますので、以下の説明は、赤い本によっています。

入通院慰謝料の算定額

例えば、入院期間2か月、通院期間2か月(実通院日数30日)の場合は、下記のようになります。

自賠責保険基準の場合

入通院慰謝料は、1日当たり4200円が認められます。

対象となる日数は、支払基準においては「傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内」とされ、実務上、「治療期間」と「実入通院日数×2」を比較して、少ない方を採用することになります。

治療期間⇒入院期間60日+通院期間60日=120日
実入通院日数×2⇒(入院日数60日+実通院日数30日)×2=180日
以上から、4200円×120日で、入通院慰謝料は50万4000円です。

なお、自賠責保険では、傷害の損害賠償額は、慰謝料を含めて120万円が上限です(自賠法施行令2条1項3号イ)。

裁判(弁護士)基準の場合

一般的な場合

入通院期間に応じて慰謝料額を算定します。

赤い本の算定表には、下記のように、別表Ⅰと別表Ⅱの2種類があります。

原則は、別表Ⅰを使用します。

むち打ち症で他覚的所見がない場合や、軽い打撲、軽い挫創(傷)の場合には、別表Ⅱを使用します。

なお、慰謝料算定の基礎となる入通院期間とは、症状固定時までの入通院期間をいいます。

【表の見方】

  • 入院月数を上欄から、通院月数を左欄から求めて、両者が交差する欄の金額が求める慰謝料です。
  • 入院のみの場合は、上欄の月数のすぐ下の金額が、入院期間に該当する慰謝料です。
  • 通院のみの場合は、左欄の月数のすぐ横の金額が、通院期間に該当する慰謝料です。

したがって、上記の例の場合、入通院慰謝料は、別表Ⅰ・139万円、別表Ⅱ・97万円です。

通院が長期にわたり、症状、治療内容、通院頻度を勘案すべき場合

別表Ⅰでは、通院が長期にわたる場合、症状、治療内容、通院頻度を踏まえ、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とされることもあります。

また、別表Ⅱでは、通院が長期にわたる場合、症状、治療内容、通院頻度を踏まえ、実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とされることもあります。

両基準の差

上記に見たように、重傷になればなるほど、入通院慰謝料における自賠責保険基準と裁判(弁護士)基準の差が大きくなるため、裁判(弁護士)基準で算定しないと、損をすることになってしまいます。

別表Ⅰ(単位:万円)

入院通院 0月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
0月 0 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

別表Ⅱ(単位:万円)

入院通院 0月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
0月 0 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 85 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

まとめ

交通事故において適用される慰謝料算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準という3つの基準があり、算定される入通院慰謝料については、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判(弁護士)基準の順に高くなります。

交通事故に遭った場合、交通事故に精通している弁護士に依頼すれば、入通院慰謝料を増額できる可能性があります。

当事務所に、是非、ご相談ください。

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